関電グループ共生
廃棄物再生レンガ製造工場が始動
月あたり50万個生産へ
高級レンガ比4割低価
操業を始めた共生の製造工場を事務所。事務所の外壁には無焼成レンガブロックが使われている
関西電力と子会社など四社が、産業廃棄物の再生利用による無焼成レンガブロックの製造・販売を事業化するため今年4月に設立した新会社「共生」(本社=兵庫県姫路市、木村逸美社長)は、2日から製造工場の操業を始めた。公共下水道や企業から排出された廃棄物を80%配合した製品を月間50万個生産する。高品質でレンガに近い外観を持ち、価格はレンガより約四割安いという製品特性を前面に出す一方、環境保全に貢献できる点を訴え、主に公共工事で発生する廃棄物のリサイクル需要を開拓していく方針。ホームセンターなど一般市場向けの販売も徐々に拡大したい考えだ。
製造工場は姫路市内の関電社有地に約4億円を投じて建設。2日に竣工式を行い、操業を開始した。
無焼成レンガブロックは、無機性汚泥、下水を処理した後の燃え殻、石炭灰をはじめとするダスト類などの主原料に、セメントなどの無機性添加物を混合し、高密度でプレス成型して製造する。廃棄物再生原料の比率が80%と高く、使用済み製品は何回でもリサイクル可能。製造工場も化石燃料を一切使用しないため二酸化炭素を排出せず、無排水、無廃棄生産を確立している。
製品名は「アーザンブリックス」。一m2当たりの価格は5800円。表面に特殊加工を施したコンクリート製の「インターロッキングブロック」と同程度で、高級レンガに比べ約4割安い。カラーバリエーションも豊富に用意している。歩道や公園、学校などの敷設材、園芸資材用として、素朴で温かみのある風合いを低コストで実現できるのが特徴だ。
原料としては当面、日本下水道事業団兵庫西エースセンターから下水道溶融スラグ(燃え殻)、山崎建設姫路採石工場から採石廃土(無機性汚泥)、神戸製鋼所加古川製鉄所から高炉スラグ(鉱さいを受け入れる。月間受け入れ可能量と製造工程における配合割合(重量比)はそれぞれ、下水道溶融スラグが300トン・ 30%、採石廃土が400トン・40%、高炉スラグが100トン・10%。
そのほか、保温材くず(ガラス・陶磁器くず)を関電の火力発電所から年間千トン、大阪ガスLNG(液化天然ガス)製造工場から年間10トン受け入れる予定。
今後、中心に据えるのは、自治体や企業から公共工事に伴い排出する廃棄物を受け入れ、レンガブロックに加工して戻す事業。一般市場では、今のところ、関西最大手のホームセンター・コーナンの店頭で販売されるほか、パナホームの展示場に置かれることが決まっている。
共生の資本金は2000万円。関電が10%、子会社の関西総合環境センター(大阪市、足立一郎社長)と近畿コンクリート工業(大阪市、渡部威社長)が合わせて80%、亀井製陶(岐阜県土岐郡笠原町、亀井宏明社長)が10%出資している。
(平成13年10月3日 電気新聞)