捨てるしかなかった産業廃棄物に生きる道を与えた地球製ブロック
近頃、何かと話題にのぼる産業廃棄物。処分しようにも埋め立て地は満杯になりそうだし、焼却すればダイオキシンや二酸化炭素が発生してしまう。もう八方ふさがりかと思いきや、光明が見えてきた。なんとゴミからレンガを造るというのだ。
昨年4月に設立されたばかりの共生は、産業廃棄物から無焼成レンガ風ブロック『アーザンブリックス』を製造している。通常、レンガは焼いて造るが、これは焼かずに“固める”のである。しかも、その製造過程で廃棄物は一切出ないというから驚く。この無焼成固化技術は、窯業会社であり共生の出資者でもある亀井製陶(株)が1997年に開発し、特許を取得したもの。「使い道のない産業廃棄物が有用な資材に生まれ変わるなんてスゴイ技術。生産・消費・廃棄という直線を、廃棄と生産を結ぶことで循環の輪にするわけですから」と熱く語るのは、立ち上げに携わった三村親文営業課長。とはいえ、操業直後の一カ月間は、まともな製品ができなっかたという。「原料によって最適な配合の割合は変わってくる。ベストミックスを見つけるまで、何度も何度も試作を繰り返しました。その一方で多種多様な廃棄物に対応できるフレキシブルさがあり、将来性は抜群ですよ」。実際、すでにJR西宮駅駅前の歩道や、パナホームの外構などに採用されている。
原料となる廃棄物はいくらでも存在するが、問題は製品の販路と販売量。売れなければ造ってもしょうがない。重要なのは品質と価格。「ガーデニングブームに乗って、暖かみのある質感がウケているようです。強度や耐久性など品質は高く、バージン材を含めた他社競合品と比べても価格競争力はあります。いくらリサイクルだ、エコだといっても、品質と価格が伴わなければ、誰も買ってくれませんからね」と、三村氏は真剣な眼差しで語った。
ここに技あり“廃棄物からブロックを製造”
採石廃土や下水汚泥焼却灰、製鉄の際に出る高炉スラグ、ガラスくずといったさまざまな産業廃棄物に、セメントや顔料などを混ぜてアンティークレンガ風ブロックを造る。再生原料比率は80%。焼成しないので化石燃料による二酸化炭素の発生がない。また養生も自然乾燥で、さらに排水や廃棄物も出ない。廃棄物の再利用と同時に、環境に重荷がかからない製造工程をも実現した。
(2002.1.23 B-ing関西版…編集部が選んだ今週の最優秀技ありカンパニーより)